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「同業の技術者派遣会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
技術者派遣会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
技術者派遣会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例は小規模帯に限られ、年商1〜3億円の帯で譲渡額は年商の約0.35倍(約6,400万円〜約8,700万円) |
② 買い手の値付け方法 | オファーでは、EBITDA(利益ベースの収益力)を軸にした算定方法が中心。EBITDAの3〜5倍に手元現金を加える形が典型 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値7社の買い手がオファー(最大33社) |
まず、上場企業による買収のうち公開されている技術者派遣関連の成約事例を、売り手の年商規模別に整理しました。譲渡額そのものよりも、「年商の何倍で成約しているか」の傾向に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
1〜3億円 | 約0.35倍 | 約6,400万円〜約8,700万円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が中心
• 所在地は東京が多く、買い手・売り手とも首都圏に集まりやすい傾向
• 黒字の状態で成約した案件が中心。ただし赤字でも、技術者や派遣先との契約・改善余地によって買い手がつく可能性がある
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
技術者派遣 | 1億円〜2億5,000万円 | 約9,000万円 |
エンジニア派遣 | 1億円〜2億5,000万円 | 約9,084万円 |
エンジニア派遣 | 2億5,000万円〜5億円 | 約5.5億円 |
結論:技術者派遣会社の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「買収後も技術者が定着し、稼働と単価を維持できるか」です。技術者そのものが事業の源泉であるため、買い手が気にするのは買収後に人が辞めないか、同じ単価で稼働し続けられるかだからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 技術者の定着と単価水準(機電・IT・建設など得意領域の技術者が買収後も残り、稼働を維持できるか) | ◎ 最重要 | 技術者=事業の源泉。買い手が気にするのは買収直後の離職。定着の見込みと単価水準が価格の土台 |
2 | 営業利益(EBITDA) | ◎ 重要 | 買い手はEBITDA基準で値付けする。利益が出ているほど素直に価格が上がる |
3 | 派遣先の分散・契約の継続性 | ○ | 特定の派遣先に偏らず契約が続く見込みは、買収後の売上継続リスクを下げる |
4 | 採用力・代表非依存の管理体制 | ○ | 技術者を採用・育成できる仕組みと、代表が抜けても営業・労務管理が回る体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、離職が多い・単価が低く利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「技術者が残り、稼働が続く状態」を作り、次に「利益を残す」。売上を追うのはその後です。
結論:技術者派遣会社へのオファーでは、買い手の多くが共通してEBITDA(利益ベースの収益力)を軸に値付けしています。EBITDA倍率単体、EBITDA倍率に手元現金を加える形、純資産に収益力を上乗せする形など、いずれも利益を基準にした方法が中心です。
M&Aサクシードの技術者派遣関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計しました。案件ごとの個別提示(その他)も一定数ありますが、方法を明示した買い手ではEBITDA倍率を軸にした算定が中心で、3〜5倍のレンジが典型です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 倍率(3〜5倍が典型) | 収益力を基準にした標準形。これが基準と考えてよい |
EBITDA × 倍率 + 手元現金(ネットキャッシュ) | 上記に手元現金を上乗せする形。標準形と並んで多い |
純資産 + EBITDA × 倍率/営業利益の数年分 | 資産価値に収益力(のれん)を加える形 |
時価純資産法(資産の時価評価) | 収益力よりも資産の時価を重視する方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに手元現金を上乗せした金額が、オファーの初期レンジの目安になります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「利益(EBITDA)を厚くし、手元現金を残しておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのような規模の派遣会社に買い手なんてつくのか」という不安は、データを見ると小さいといえます。技術者派遣関連の案件には、1案件あたり中央値7社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの技術者派遣関連案件のデータでは、1案件あたり中央値で7社、多いケースでは33社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 7社 |
平均 | 約9.3社 |
最も多かった案件 | 33社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ている技術者派遣会社関連の案件は約7件と、決して多くありません。
これに対して買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値7社がオファーを出しています。売り案件の少なさに対して買い手の需要が上回る、売り手優位の需給バランスです。数少ない案件に買い手が集中するため、複数の候補を比べながら条件交渉を進めやすい環境にあります。
この需給の環境は、売り手にとって交渉の進め方そのものを変えます。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、社名・屋号の存続や従業員の雇用継続といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多(約3割)。100億円以上の大手も約25% |
M&A経験 | 約75%が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約8割が非上場。東証プライム・スタンダード等の上場企業も |
エリア | 約6割が東京。愛知・大阪など製造業が集まる都市圏が続く |
業種 | 技術者派遣の同業のほか、IT人材サービス、一般人材派遣・人材紹介、ソフトウェア受託開発など人材・技術領域の事業会社が中心 |
結論:技術者派遣会社の買い手で最も存在感があるのは、「技術者と顧客基盤をまとめて引き継ぎたい同業・隣接の人材サービス企業」です。採用難が続くなか、育成済みの技術者を面で確保できることが大きな動機だからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業・隣接(技術者派遣・IT人材サービス) | ◎ 主役候補 | ギークス(約252億円、IT技術者派遣のアライヴを取得) | 技術者・派遣先・ノウハウをまとめて引き継ぎやすく、雇用が継続されやすい |
人材サービス大手・上場企業 | ○ 価格が出やすい | アウトソーシング(約7,496億円、システムエンジニア派遣のアスカ・クリエイションを取得) | 技術者数と得意領域の積み上げ。グループ会社化による規模拡大 |
異業種・事業会社(機能の取り込み) | ○ シナジー次第 | 網屋(約48億円、セキュリティ事業強化のためIT技術者派遣2社を取得) | 自社サービス強化に向けた技術者・派遣機能の取り込み |
投資ファンド | △ 条件次第 | —(人材・技術関連の買い手候補にも一定数) | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買われるのでは」という心配は実態と逆です。同業・隣接の買い手は、技術者と派遣先をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用継続を前提に、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
IT技術者派遣・ITソリューション・受託開発(アライヴ) | 約7.0億円 | ギークス(約251.6億円) | 約6.0億円 | ITフリーランスのデータベースやエンジニア育成といった、IT人材インフラの強化・拡充 |
システム開発受託・システムエンジニア派遣(アスカ・クリエイション) | 約10.3億円 | アウトソーシング(約7,496.1億円) | 約3.0億円 | 中期経営計画に沿った事業領域の拡大と、多様化・高度化する顧客ニーズへの対応力の獲得 |
IT技術者派遣・受託開発・製品販売(グローブテック・ジャパン) | 約2.5億円 | 網屋(約47.7億円) | 約0.9億円 | セキュリティ事業のホールディングス化に向けた、エンジニア派遣事業立ち上げの中核としての取得 |
IT技術者派遣・受託開発(ASネットワークセキュリティ) | 約1.9億円 | 網屋(約47.7億円) | 約0.6億円 | サイバーセキュリティの事業領域拡大に向けた、主業であるエンジニア派遣事業の強化 |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「あなたが抜けても、技術者と派遣先は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の不安です。「買った後に技術者が辞めないか」「主要な派遣先が離れないか」「代表がいなくなって採用や営業が止まらないか」。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商規模でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 技術者の定着率が高く、買収後も残る見込みが立つ | ◎ 離職が多く、技術者が残る見込みが弱い |
◎ 代表が抜けても営業・採用・労務管理が回る | ◎ 代表個人に営業・採用・派遣先との関係が集中している |
○ 派遣先が複数の業界・企業に分散している | ○ 派遣先が1社・1業界に偏っている |
○ 単価と稼働率が安定し、利益が継続的に出ている | ○ 売上はあるが単価が低く、利益が薄い |
○ 派遣契約・労務・財務情報が整理されている | △ 必要資料が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「技術者が残るか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。定着率などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。技術者派遣が属する「職業紹介・労働者派遣業」と、IT系の技術者派遣に近い「情報サービス業」を併記します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
職業紹介・労働者派遣業(30件) | EV/EBITDA | 3.5倍 | 9.4倍 | 19.6倍 |
職業紹介・労働者派遣業(32件) | PER | 8.8倍 | 15.6倍 | 35.7倍 |
情報サービス業(100件) | EV/EBITDA | 4.9倍 | 9.7倍 | 17.7倍 |
情報サービス業(106件) | PER | 6.7倍 | 13.5倍 | 27.7倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、技術者派遣会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍 + 手元現金(ネットキャッシュ)。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い技術者派遣会社の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
技術者派遣会社の価格を最も左右するのは「買収後も技術者が定着し、稼働と単価を維持できるか」、次に「利益(EBITDA)」です。買い手の値付けはEBITDA倍率に手元現金を加える形が中心で、技術者派遣関連の案件には1案件あたり中央値7社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、技術者と顧客基盤をまとめて引き継ぎたい同業・隣接の人材サービス企業です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。
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