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「同業の不動産管理会社・賃貸管理会社が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
不動産管理会社・賃貸管理会社の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
不動産管理会社・賃貸管理会社の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。管理会社は保有資産よりも、管理受託契約から生まれる継続収益が価値の中心になる点が特徴です。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | 上場企業による買収の公開事例は数が限られますが、価格は年商倍率ではなく管理ストックの収益力で説明したほうが実態に合います |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「EBITDA(利益)の3〜5倍」や「時価純資産」を軸にした方法 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値4社の買い手がオファー |
まず、上場企業による買収のうち公開されている不動産賃貸・管理関連の成約事例を見ます。ただし公開事例には賃貸物件そのものを保有する資産型の会社や、開発・仲介を兼ねる複合企業も混じるため、年商に対する倍率は帯によって極端に振れます。ここでは倍率の数字を追うのではなく、「管理会社の価値は資産ではなく、管理受託の継続収益で見られる」という考え方に注目してください。
売り手の年商 | 年商に対する譲渡額の倍率(中央) | 譲渡額の目安レンジ |
1億円未満 | 参考値(事例が少なく倍率は資産保有の影響で大きく振れる) | 約15.6億〜約61億円 |
5〜10億円 | 約1.9倍 | 約6億〜約26.7億円 |
• 譲渡理由は「後継者不在」が約5割で最多。次いで「自社事業の選択と集中」「代表者の引退」が続く
• 所在地は東京が約3割。地方に根ざした管理会社も一定数が成約している
• 黒字案件は約3割。営業赤字でも成約しており、黒字であることは必須条件ではない
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
賃貸仲介 | 1,000万〜5,000万円 | 約2,000万円 |
注文住宅 | 1億〜2.5億円 | 約500万円 |
不動産仲介 | 2.5億〜5億円 | 約1,000万円 |
工務店 | 2.5億〜5億円 | 約3,000万円 |
結論:不動産管理会社・賃貸管理会社の価格を決める最大の要素は、保有する資産でも売上でもなく「管理受託契約がどれだけ続くか」です。管理料という継続収益(ストック)が事業の土台であり、買い手が引き継ぎたいのは、その解約されにくい収益基盤だからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 管理戸数と受託契約の継続性(解約率の低さ) | ◎ 最重要 | 管理戸数は収益の源泉。契約が解約されにくいほど、将来の収益が読め、価格の土台になる |
2 | ストック収益の安定と利益率(管理料の粗利) | ◎ 重要 | 買い手はEBITDA基準でも値付けする。管理料が安定して利益を生むほど素直に価格が上がる |
3 | 入居率とオーナーとの関係の強さ | ○ | 入居率が高く、オーナーとの信頼が厚いほど、契約継続と追加受託が見込め、収益が安定する |
4 | エリアの物件密度・営業効率 | ○ | 管理物件が地理的にまとまっているほど巡回・対応の効率がよく、利益率が高まりやすい |
— | 保有資産・売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 資産保有や売上が大きくても、管理受託の収益基盤が伴わなければ評価は伸びにくい |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず「管理受託契約が続く状態(解約率の低さ)」を作り、次に「管理料の利益率とストック収益の安定」を高める。売上や保有資産の規模を追うのはその後です。
結論:買い手のオファーは「EBITDA(利益)の3〜5倍」や「時価純資産」を軸にした方法に集約されます。管理会社の場合は、管理ストックが生む利益を評価するEBITDA基準と、資産を評価する純資産基準の両方が使われます。
M&Aサクシードの不動産賃貸・管理関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率と時価純資産法が同じくらい多く、残りの方法もこの2つを軸にした変種です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍(+手元現金) | 管理ストックが生む利益を評価する方法。継続収益が厚いほど価格が上がる |
時価純資産法 | 保有資産・純資産を評価する方法。資産を持つ会社で使われやすい |
時価純資産 + EBITDA × 倍率 | 上記2つの組み合わせ。資産価値に収益力を加算する変種 |
具体的にイメージすると
たとえばEBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。管理ストックが安定して利益を生んでいるほど、このレンジの上限に近づきます。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「管理料から生まれる利益(EBITDA)を安定して厚くすること」。解約率が低く、管理料の利益率が高いほど、収益基準での評価が上がります。
結論:「うちのような管理会社に買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。不動産賃貸・管理関連の案件には、1社あたり中央値4社、多いケースでは20社を超える買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードの不動産賃貸・管理関連案件のデータでは、1社あたり中央値で4社、多いケースでは27社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 4社 |
平均 | 約6.9社 |
最も多かった案件 | 27社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。現在、M&A市場に売りに出ている不動産管理会社・賃貸管理会社関連の案件は約30件で、一定の流通量がある業種です。
買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値4社がオファーを出しています。供給と需要が釣り合った、いわば「実力勝負」の市場です。案件が珍しくないぶん、買い手は事業内容を見て選別します。強みが伝わる形で情報を整理できるかどうかが、オファーの数と条件を分けます。
そのうえで大事になるのが、オファーの集め方です。プラットフォーム型のM&Aでは、複数の買い手が同じタイミングで案件を検討するため、比較検討できるオファーを同じ期間にまとめて集めやすくなります。相対で1社と向き合うのではなく、複数のオファーを並べて比較しながら進められる状態です。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
なお、売りに出ている案件の譲渡理由としては「後継者不在」が最も多く、「事業拡大・成長戦略」がそれに続きます。事業や業績に問題があって売りに出るケースばかりではない、という点は売り手・買い手双方にとって押さえておきたいポイントです。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 100億円超の大手が最多。10〜30億円の中堅も多く、幅広い規模の買い手が関心を持つ |
M&A経験 | 約69%が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 非上場が約8割。東証プライム・スタンダード・グロース等の上場企業も一定数 |
エリア | 約5割が東京。大阪が続き、地方の買い手も一定数 |
業種 | 同業の不動産管理・賃貸・仲介のほか、開発・建設や、賃貸保証・不動産テック系の会社も |
結論:不動産管理会社・賃貸管理会社の買い手で最も数が多いのは「同業の不動産管理・賃貸会社によるロールアップ型」です。管理戸数と管理受託契約という継続収益を、面でまとめて取り込めることが動機だからです。
買い手は4タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
同業の不動産管理・賃貸会社(ロールアップ型) | ◎ 最多・最速 | 穴吹興産(約1,310億、賃貸・管理を取得)/AMGホールディングス(約304億、売買・賃貸・管理を取得) | 管理戸数と管理受託契約を面で引き継ぐ。屋号・雇用が継続されやすく、売り手に優しい |
不動産開発・建設の上場企業 | ○ 価格が出やすい | あかつき本社(約565億、不動産・金融グループ)/アグレ都市デザイン(約307億、不動産賃貸を取得) | 開発・分譲事業に、安定した管理・賃貸のストック収益を組み合わせる |
異業種・事業会社 | ○ シナジー次第で高値 | エルテス(約73億、賃料保証を取得)/シンクロ・フード(約40億、商業用不動産サービスを取得) | 不動産テック・賃貸保証など、隣接サービスとの相乗効果を狙う |
投資ファンド | △ 限定的だが存在 | —(不動産関連の買い手候補にも一定数) | 安定したストック収益への投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり「同業に安く買い叩かれるのでは」という心配は実態と逆です。同業ロールアップ型は、管理戸数とオーナーとの関係をまとめて引き継ぎたいからこそ、雇用継続を前提に、競って手を挙げてきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。「どんな会社が、いくらで、なぜ評価されたか」の具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
不動産の賃貸並びに管理などを手がける会社(三和住宅) | 約2.9億 | 穴吹興産(約1,310億) | 50.45億 | 地域に根ざした賃貸・管理の受託基盤と、分譲・不動産価値創造事業との相乗効果 |
不動産の売買・賃貸・管理およびその仲介を手がける会社(ハウメンテ) | 約8.8億 | AMGホールディングス(約304億) | 26.72億 | 売買・賃貸・管理を一体で持つ事業基盤と、グループの不動産事業との補完 |
不動産賃貸業を手がける会社(ホーユーコーポレーション) | 約3.5億 | アグレ都市デザイン(約307億) | 39.01億 | 賃貸のストック収益と、企業価値最大化に向けた事業ポートフォリオの拡充 |
不動産の賃貸借における賃料保証を手がける会社(バンズ保証) | 約200万円 | エルテス(約73億) | 15.6億 | 賃料保証というストック型サービスと、デジタルリスク事業との組み合わせ |
結論:高く評価される会社と、伸びない会社を分けるのは、つきつめると一つの問い「オーナーが替わっても、管理受託契約は続くか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の不安です。「買った後にオーナーが解約しないか」「入居率が落ちないか」「代表がいなくなってオーナー対応や現場が回らなくならないか」。この不安を小さくする要素は価格を押し上げ、不安を大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商2億円でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 管理受託契約の解約率が低く、買収後も管理戸数が残る | ◎ 解約が多く、管理戸数の維持に不安が残る |
◎ 代表が抜けてもオーナー対応・入居者対応・管理業務が回る | ◎ 代表個人がオーナーとの関係を抱えている |
○ 入居率が高く、オーナーとの信頼関係が厚い | ○ 入居率が低く、オーナーの入れ替わりが多い |
○ 管理物件がエリアにまとまり、巡回・対応の効率がよい | ○ 管理物件が広域に散らばり、対応コストがかさむ |
○ 管理料のストック収益が安定し、契約・財務資料が整っている | △ 契約書・管理受託記録・財務情報が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「管理受託契約が残るか」「代表に依存していないか」この2つを整えるだけで、同じ業績でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。解約率などの具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。不動産管理・賃貸管理を含む「不動産賃貸業・管理業」の評価倍率です。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
不動産賃貸業・管理業(57件) | EV/EBITDA | 12.7倍 | 22.2倍 | 45.6倍 |
不動産賃貸業・管理業(56件) | PER | 15.7倍 | 32.1倍 | 55.4倍 |
不動産賃貸業・管理業(88件) | PBR | 1.1倍 | 1.7倍 | 4.8倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、不動産管理会社・賃貸管理会社との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDAの3〜5倍、または時価純資産を軸にした方法。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近い不動産管理会社・賃貸管理会社の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
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相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
不動産管理会社・賃貸管理会社の価格を最も左右するのは「管理受託契約が続くか(解約率の低さ)」、次に「ストック収益の安定と利益率」です。管理会社は保有資産よりも、管理料という継続収益で評価される点が特徴です。買い手の値付けはEBITDA3〜5倍や時価純資産を軸にした方法に集約され、1案件あたり中央値4社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、管理戸数とオーナーとの関係を面で引き継ぐ同業のロールアップ型です。
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