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「同業のクリニック・診療所が、いくらでM&Aされたのか」気になったことはありませんか。
クリニック・診療所の評価は、売上高だけでは決まりません。利益、人材の定着、事業の独自性や強み、顧客との契約継続性、そして買い手とのシナジーで変わってきます。同じ売上規模でも、評価が数倍違うことは珍しくありません。
この記事は、売却をすすめるものではありません。会社を続ける・伸ばす・いつか譲る、どの選択肢を考えるにしても、まず「自社が市場でどう見られているか」を知っておくことには意味があります。公開されているM&A成約事例と、M&Aサクシードのプラットフォームに届いた実際のオファーデータをもとに、その見方を解説します。
クリニック・診療所の相場は、①公開されている成約事例での価格水準、②買い手が実際に使う値付け方法、③1社にどれだけの買い手が関心を示すかをあわせて見ると立体的に分かります。
見る視点 | わかること |
① 成約事例での価格水準 | クリニック・診療所は運営主体の多くが医療法人で、公開株式M&Aが限られます。そのため相場観はオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見ます |
② 買い手の値付け方法 | オファーで多いのは「EBITDA(利益)の3〜5倍」を軸にした方法 |
③ 1社あたりの関心の集まり方 | M&Aサクシードのデータでは、1案件に中央値2社の買い手がオファー |
クリニック・診療所は運営主体の多くが医療法人で、上場企業による買収の公開事例が限られます。そのため本記事では、価格水準はオファー(収益力ベース)と公的統計を軸に見ます。
• 譲渡理由は「代表者の引退」「後継者不在」「自社事業の選択と集中」「事業の成長」がそれぞれ約2割で分かれる
• 所在地は東京が約2割。買い手・売り手とも都市部に集まりやすい傾向
• 黒字案件は約8割。院長の高齢化や後継者探しを機とした承継が中心
事業の特徴 | 年商規模 | 成約額の目安 |
クリニック | 5,000万〜1億円 | 約1億円 |
クリニック | 5〜10億円 | 約5.5億円 |
医療法人 | 5〜10億円 | 約16.6億円 |
クリニック | 非開示 | 約700万円 |
医療法人 | 10〜25億円 | 約2,150万円 |
結論:クリニック・診療所の価格を決める最大の要素は、売上規模ではなく「院長(医師)に依存しすぎていないか」と「患者基盤(レセプト)が安定しているか」です。院長が抜けても患者と診療が続く体制こそ、買い手が最も気にする点だからです。
評価要素には序列があります。同じ要素でも、価格への効き方は同じではありません。
順位 | 評価要素 | 影響度 | なぜそうなるか |
1 | 院長(医師)への依存度と後任医師の確保 | ◎ 最重要 | 買い手が最も気にするのは、院長が抜けた後も診療と患者が続くか。後任医師や勤務医の体制があれば評価が上がる |
2 | 患者基盤(レセプト)の安定と収益力(EBITDA) | ◎ 重要 | 継続的な保険診療の患者数とレセプト収入が収益の源泉。安定して黒字が続いていれば素直に価格が上がる |
3 | 保険診療と自由診療の構成・医療法人の形態 | ○ | 自由診療の比率や、医療法人(出資持分あり/基金拠出型)の形態は、承継のしやすさと価格の付き方を左右する |
4 | 立地・診療圏の需要と管理体制 | ○ | 患者が集まる立地・診療圏の人口・スタッフ運営体制は評価されやすい |
— | 売上の大きさ(単体) | △ 効きにくい | 売上が大きくても、院長依存が強い・利益が薄いと評価は伸びない |
つまり、価格を上げたいなら順番があります。まず院長依存を下げて患者基盤を安定させ、次に利益を残す。売上規模を追うのはその後です。
結論:クリニック・診療所へのオファーは「EBITDA(利益)の3〜5倍」を軸に、純資産や保有資産の時価を加える形にほぼ集約されます。買い手の多くが共通して利益と患者基盤の安定を見ています。
M&Aサクシードのクリニック・診療所関連案件に届いたオファーで、買い手が提示した算定方法を集計すると、EBITDA倍率が軸。残りの方法も、純資産や資産の時価を組み合わせた変種が中心です。
買い手が提示する算定方法(多い順) | 位置づけ |
EBITDA × 3〜5倍 | 標準形。利益(EBITDA)を基準に評価する最も多い方法 |
時価純資産法(保有資産の時価ベース) | 医療機器・不動産など保有資産の時価を基準にする方法 |
時価純資産 + 営業利益の3〜5年分(のれん) | 資産価値に、のれん(営業利益の数年分)を加える方法 |
具体的にイメージすると
EBITDAが5,000万円なら、3〜5倍で1.5億〜2.5億円。これに純資産や保有資産の時価を加味した金額が、オファーの初期レンジになります。
ここからいえることはシンプルです。価格を上げるいちばん直接的な方法は「患者基盤を保って利益(EBITDA)を厚くし、院長依存を下げておくこと」。逆に、節税のために利益を圧縮していると、その分だけ評価も下がります。
結論:「うちのようなクリニックに買い手がつくのか」という心配は、データを見ると小さいといえます。クリニック・診療所関連の案件には1社あたり中央値2社、多いケースでは29社の買い手がオファーを寄せています。
M&Aサクシードのクリニック・診療所関連案件のデータでは、1社あたり中央値で2社、多いケースでは29社の買い手がオファーを寄せています。
1案件あたりのオファー買い手数 | 実績(M&Aサクシード) |
中央値 | 2社 |
平均 | 約5.8社 |
最も多かった案件 | 29社 |
複数の買い手が同時に関心を示す状況は、条件交渉でも有利に働きます。まずは「自社にどんな買い手が、何社くらい関心を持つか」を知るところからで十分です。
では、売り手側の供給はどうでしょうか。M&A市場に出ているクリニック・診療所関連の売り案件は約210件と、業種横断で見ても案件数の多い分野です。
買い手側は、前述のとおり1案件あたり中央値2社がオファーを出しています。売り案件の流通量が多い業種だけに、買い手は複数の案件を並べて比較できる立場にあります。埋もれないためには、早めに動いて自社の強み——収益性、顧客基盤、人材——を整理して見せることが重要です。
交渉の進め方という点でも、押さえておきたいことがあります。M&Aサクシードのようなプラットフォームでは、複数の買い手が同時に案件を検討するため、比較できるオファーを同じ期間に集めやすくなります。1社ずつ順番に打診して回るのではなく、複数のオファーを手元に並べて、価格や条件を見比べながら交渉相手を選べる状態をつくれます。オファーが複数並ぶと、買い手も他社と比較されていることを前提に条件を出すため、価格だけでなく、経営者の関与期間や引き継ぎの進め方といった条件面でも、売り手の希望をのんでもらいやすくなります。
ちなみに、市場に出ている案件の譲渡理由では「後継者不在」が目立ちます。売却は特別な会社だけの選択肢ではない、ということの表れといえるでしょう。
実際にオファーを寄せた買い手のプロフィールを集計すると、買い手像はかなり具体的に見えてきます。
買い手の属性 | 実際の傾向 |
売上規模 | 10〜30億円が最多。100億円超の大手も多く、1億円未満の小規模まで幅広い |
M&A経験 | 約7割が「M&A経験あり」。買い慣れた買い手が中心 |
上場/非上場 | 約9割が非上場。東証プライム・スタンダード・グロース等の上場企業も |
エリア | 東京が最多(約6割)。大阪・兵庫・神奈川・愛知など都市圏が続く |
業種 | 医療・ヘルスケアの同業、在宅医療・介護、周辺サービスの事業会社が中心 |
結論:クリニック・診療所の買い手で最も数が多く、最も早く動くのは「医療・ヘルスケア系の同業・隣接事業」です。医師や患者基盤、拠点を引き継ぎ、地域の医療連携を広げたいという動機が強いからです。
買い手は複数タイプに分かれますが、出現頻度もスピードも価格の出し方も同じではありません。実名の事例とあわせて、重みづけして見ます。
買い手タイプ | 位置づけ | 実名の例(売上規模) | 売り手から見た特徴 |
医療・ヘルスケア同業(クリニック・在宅医療系) | ◎ 最多・最速 | シーユーシー(約470億) | 医師・患者基盤・拠点を継続しやすく、地域の医療連携を強化できる |
医療・介護の大手・上場企業 | ○ 価格が出やすい | ソラスト(約1,374億) | 在宅医療・介護との連携でエリアとサービスを拡大 |
異業種・事業会社/金融グループ | ○ シナジー次第 | SOMPOホールディングス(ヘルスケア領域に参入) | ヘルスケアを成長事業として本格参入・多角化 |
投資ファンド | △ 条件次第 | — | 成長投資・ロールアップの起点。経営支援を受けて拡大 |
つまり、買い手像を一つに決めつけないことが大切です。医師・患者基盤・地域連携のどこを最も評価する買い手かで、条件は変わってきます。
買い手・売り手ともに公表されている成約事例です。クリニック運営に性質が近い医療・在宅医療系の公開事例を、具体像としてご覧ください。
売り手の事業 | 売り手売上 | 買い手(売上規模) | 譲渡額 | 評価の軸 |
住宅型有料老人ホーム・在宅医療連携の事業(ノアコンツェル) | 約66.2億 | シーユーシー(約470億) | 53億 | 在宅医療とヘルスケアサービスの連携強化 |
医療・介護サービス事業(恵の会) | 約13.1億 | ソラスト(約1,374億) | 33.5億 | 地域トータルケアの推進と医療・介護基盤の拡大 |
リハビリ型通所・介護予防を手がける事業(ポシブル医科学) | 約19.1億 | ソラスト(約1,374億) | 13.14億 | 高齢化ニーズに応えるヘルスケア事業の拡大 |
結論:高く評価されるクリニックと、伸びないクリニックを分けるのは、つきつめると一つの問い「院長が抜けても、患者と診療は残るか」です。
買い手の頭にあるのは、買収後の心配です。「院長がいなくなって患者が離れないか」「後任の医師を確保できるか」「レセプト収入が続くか」。この心配を小さくする要素は価格を押し上げ、大きくする要素は価格を下げます。
同じ年商でも、評価には差が出ます。
価格を押し上げる(買い手の不安を消す) | 価格を下げる(買い手の不安を増やす) |
◎ 院長が抜けても後任医師・勤務医で診療が続く | ◎ 院長個人の診療・信頼に患者が依存している |
◎ 患者基盤(レセプト)が安定し、継続受診が見込める | ◎ 患者数が院長次第で変動しやすい |
○ 利益(EBITDA)が継続的に出ている | ○ 売上はあるが利益が薄い |
○ 保険診療・自由診療の構成が安定し、医療法人の形態が明確 | ○ 収益構成や法人形態の整理が進んでいない |
○ レセプト・労務・契約の資料が整理されている | △ 必要書類が整理されていない |
最初の2行(◎)が決定的です。「院長が抜けても診療が回るか」「患者基盤が安定しているか」この2つを整えるだけで、同じ売上規模でも評価は変わってきます。
※ 当社の成約事例・買い手の取得理由から見られる傾向の整理です。具体的な閾値は個社ごとに異なります。
外部の裏付けとして、登録支援機関の中小M&A実績にもとづく公的統計を参照します。クリニック・診療所が含まれる「医療業」を参照します。
参照業種(件数) | 指標 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 |
医療業(51件) | EV/EBITDA | 3.3倍 | 7.8倍 | 16.4倍 |
医療業(71件) | PER | 2.2倍 | 9.5倍 | 20倍 |
相場を見たら、次は「自社に実際どんなオファーが届くか」を確かめてみることもできます。
M&Aサクシードでは、相場を見たあと、気が向いたら試しにプラットフォームの会員企業からオファーを受け取ってみることができます。ここまでの相場の確認も、オファーの受け取りも、無料でご利用いただけます。
オファーを受け取るだけなら、契約は不要・決算書などの書類提出も不要・(オファー相手の企業に対して)会社名は匿名のままで利用できます。
「売却すると決めてから動く」のではなく、「オファーを見てから、どうするかを考える」という順序で進められます。
届くオファーには、「いくらで」だけでなく、次のような内容まで含めることができます。
• なぜ自社に関心があるのか(買い手の狙い・シナジー)
• 連帯保証はどうなるか
• 従業員はどうなるか(雇用の継続)
• 自分はいつまで経営に関わるか(引き継ぎ期間)
実際のオファーは、たとえば次のような形で届きます。
会社名 | 株式会社サクシードテック ※本記事用のサンプル表記 |
本社所在地 | 東京都 |
事業内容 | 首都圏を中心に事業を展開し、クリニック・診療所との連携・取り込みに注力する企業。 |
売上高 / 従業員 | 100億円以上 / 1,001名以上 |
上場区分 / M&A実績 | 非上場 / 2〜5案件 |
関心を持った背景 | 弊社は人材・体制の強化を経営課題としており、貴社が強みとする領域は、まさに弊社が探し求めていた領域です。同エリアの営業・調達基盤と組み合わせることで強いシナジーが見込まれます。ぜひ早期に秘密保持契約を締結し、責任者同士の面談の機会を頂戴できれば幸いです。 |
買収金額の算定方法 | EBITDA(利益)の3〜5倍。対象会社の収益性をベースに株式評価。詳細はデューデリジェンスを通じて検討。 |
経営者の処遇 | 売り主様のご意向を全面的に尊重。従業員・取引先へのスムーズな承継のため、数ヶ月〜半年程度の引き継ぎ期間(顧問等)をご相談。形態は状況に合わせ柔軟に。 |
連帯保証の解除時期 | クロージング時までに金融機関と調整し、前オーナー様の連帯保証を全て解除することを前提。 |
匿名なのはあなたの会社の社名だけ。オファーを送る買い手側は、社名・所在地(都道府県)・売上規模・M&A実績まで明かしています。だから「誰が、なぜ、いくらで」を確認したうえで、進めるかどうかを判断できます。
良いオファーが届いたときだけ、ご自身の判断で次のステップに進めます。もちろん、M&Aプロセスに詳しいM&Aサクシードの担当者と一緒に進めることもできます。
▶ まずは自社に近いクリニック・診療所の相場を見る(無料)
https://ma-succeed.jp/register/direct
▶ 匿名のまま、試しにオファーを受け取ってみる(契約・書類提出不要)
https://ma-succeed.jp/register/direct
相場の確認も、会員企業からのオファーの受け取りも無料です。契約や決算書の提出も不要で、オファー相手の企業に対しては会社名を匿名のまま利用できます。
問題ありません。むしろ決める前に、同業の相場や届くオファーを見ておくことで、続ける・伸ばす・譲るという選択肢を落ち着いて考えられます。オファーを見てから、どうするかを考える順序で進められます。
可能性はあります。買い手は赤字理由、人材の定着、顧客契約、改善余地を確認します。実際に営業赤字でも買い手がついた事例があります。
年商だけで決まりません。小規模でも、利益が出ている・顧客契約が安定している・買い手にとって魅力的な人材や資産を抱えている場合は対象になります。
売上倍率だけで見るのは適切ではありません。買い手のオファーでは、利益(EBITDA)を基準に手元現金を加える形が最も多く見られます。
クリニック・診療所の価格を最も左右するのは、売上規模ではなく「院長(医師)に依存しすぎていないか」と「患者基盤(レセプト)が安定しているか」です。運営主体の多くが医療法人で公開株式M&Aが限られるため、相場観はオファーと公的統計を軸に見ます。買い手のオファーはEBITDA(利益)の3〜5倍を軸に純資産や資産の時価を加える形にほぼ集約され、クリニック・診療所関連案件には1社あたり中央値2社の買い手がオファーを寄せています。買い手の主役は、医師・患者基盤・地域連携を引き継ぎたい医療・ヘルスケア系の同業・隣接事業です。
そして、自社に実際どんなオファーが届くかは、匿名・無料で確かめられます。まずは相場を見て、気が向いたらオファーを受け取ってみる、その順序で、ご自身のペースで選択肢を広げてみてください。
• かいしゃ価値トレンドの解説:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/kaisha-kachi-trend
• かいしゃ価値トレンドで相場を見る:https://ma-succeed.jp/register/direct
そんなときに、まず使えるのが「かいしゃ価値トレンド」。会社名を出さず・約30秒・無料で、同業の成約相場と買い手の傾向を確認できます。
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