ラストワンマイルをつなぐ、物流サービスの要として
1989年に創業した東亜物流は、貨物運送サービスを軸としつつ、派生する倉庫業や廃棄物処理、リサイクル関連業務、そして人材派遣サービスなどを展開している総合物流ソリューション企業です。事業ドメインを絞り、かつ拠点展開も関東圏に限定することで、自分たちが得意とする領域で着実に成長を続けてきました。
この30年間で、運送業界はさまざまな変化に直面してきました。eコマースの急速な普及、発達に伴ってお客様のニーズも多様化しましたし、さらに規制緩和に端を発する価格競争が激化。私は東京都トラック協会の副会長を務めていますが、人材採用も難しくなり、「仕事の依頼は来るが、人が集まらないためトラックが動かせない」と頭を抱える経営者の姿を数多く見ています。東亜物流では会社で大型免許の取得をサポートし、未経験から人材を育てることに取り組んでいますが、すべての運送事業者がこのように手厚く研修を実施できるわけではありません。会社の基盤を活かしつつ、運送業界が抱える「人材不足」という大きな課題の解決に、少しでも貢献できるようチャレンジを続けています。
今回、M&Aサクシードで公募を始めることも、後継者問題や人材不足に悩む同業他社と手を取り合うことで、お互いにとってWIN-WINの関係を築けるのではと考えています。スマートフォンからいつでも注文ができたとしても、どれだけ人工知能や自動運転といった技術が発達したとしても、ラストワンマイルを届けるには必ず人の手が必要となります。現代社会になくてはならない物流をともに支える仲間を、今回は募集したいと考えています。
企業の歴史や人材を活かしつつ、より働きやすい環境を提供する
今回の公募では、新たな業態や関東圏外への進出は考えていません。物流に関連する事業を営み、関東圏内にある企業を中心にまずは一度お会いしたいと考えています。多くの経営者は第三者に事業を引き継ぐことに慣れていないと思います。だからこそ、東亜物流がこれまでに手掛けてきた事業譲り受けのリアルを、まずはきちんとお伝えできればと考えています。M&Aとはいえ、社名や車体のロゴをいきなり切り替えるといったことは、心情的にも受け入れがたいでしょう。だからこそ、これまで各社が積み重ねてきた歴史やブランドはうまく残しつつ、東亜物流のグループ会社化するメリットを最大限享受できるよう、どのような方法があるか一緒に模索できればと考えています。
譲り受け成立後は従業員向けの福利厚生をより充実させ、働きやすさを底上げする設備投資も推進していきます。東亜物流では全社員が集まる新年会を毎年開催しており、そのなかで「TOPGUN(トップガン)」と呼ばれる最優秀社員表彰制度を設けています。これは役員から新入社員まで、一人ずつ投票し、その年で最も活躍したと思われる人間を表彰するというものです。受賞者には海外旅行をプレゼントするなど、これは物流業界では珍しい取り組みだと自負しています。経営体制が大きく変わるタイミングというのは、どうしても社員が不安を抱いてしまうからこそ、グループ全体で社員の不安や不満を払拭できるような施策を今後も打ち出し、一人ひとりのパフォーマンスを最大化できる環境を用意できるよう、努力を続けていきたいと考えています。
地に足をつけた経営を続けるために、関東圏、かつ物流関連企業に限定
繰り返しになりますが、今回は東亜物流が展開している物流事業との親和性をまず重視したいと考えています。倉庫業や人材派遣、リサイクル関連事業も一つ一つ伸ばしていこうと考えていますので、こうした事業を営む企業からのコンタクトもお待ちしています。ありがたいことに多くのお客様から引き合いをいただいているため、「設備は整っているが顧客開拓に注力できていない」という悩みを抱えている企業であっても問題ありません。
また、急激な成長よりも持続可能な成長を目指している会社ですので、拙速に話をまとめることもなく、じっくりお話できればと考えています。どのような経営課題を抱えているのかを知り、東亜物流として何が提供できるかを伝え、お互いが合意した上で話をまとめることを第一とするつもりです。
最後に、他業種と比較して長時間労働かつ低賃金に陥りがちだとされる物流業界ですが、東亜物流にはこの問題にも真剣に取り組んでいます。2020年は政府主導での適正な運賃の告示が行われ、業界全体の健全化、労働生産性の向上に大きな一歩となる年ですが、強制力を持たない分、クライアントとの価格交渉は企業努力に委ねられています。クライアントに価格交渉できる事業基盤があることは、それだけで1つの武器となります。物流業界で存在感を示しつつ、一方で社員やその家族を守るために持続可能な成長を目指す私たちと、歩みをともにしたいと考えてくれるパートナーと、この機会に巡り会えることを楽しみにしています。