全国120軒の譲り受け・承継実績を誇るブリーズベイホテルが考える事業承継のかたち
ホテル・旅館は、お客様への提供価値を高めることがなによりも重要
ホテル・旅館業界は、バブル期以降では最大の、新築ホテルの建設ラッシュを迎えています。一方、その陰で事業を縮小・廃業するホテル・旅館も増えてきているのが現状です。特に地方圏のホテル・旅館で、その傾向が顕著であると、私は考えています。
その背景としては、後継者不在、従業員の高齢化、人手不足、低収益などの問題が挙げられます。しかし、こうした課題を抱えているホテル・旅館のなかにも、実は継続的に運営していけるポテンシャルを秘めた施設は日本各地にたくさんあります。私たちは、そういったホテル・旅館を承継し、提供価値を高め、お客様に支持され続ける施設にすることで、日本のホテル・旅館業界を盛り上げていきたいと考えています。
ブリーズベイホテルによるホテル・旅館の譲り受けと継続運営の手法は極めてオーソドックスです。多くのホテル・旅館の譲り受けと運営で培ったノウハウを生かしながら、お客様に喜んでいただけるところに時間とお金を投資することで、お客様への提供価値を高めながら運営の安定化を実現します。運営が苦しいホテルや旅館は、お客様への提供価値を高めるための投資ができません。
例えば、旅館の客室の畳が擦り切れていてすぐにでも直したくても、費用がなく、そのまま運営せざるをえなくなります。また、お客様が楽しみにされている食事も、今まで使えていた食材が使用できなくなり、品質が担保できなくなるなど、お客様の満足が得られない状態になります。ホテルや旅館の経営者や従業員の方々は、お客様の喜ぶ顔が見たいと真剣に考えて運営をしているにもかかわらず、気持ちよくサービスを提供できないことに悩んでいるケースが多いのです。
グループだからこそできる運営の効率化
ブリーズベイホテルでは、ホテル・旅館を譲り受けた後、ノウハウの活用と資金の注入をしながら、運営の効率化にも取り組んでいきます。往々にして、ホテル・旅館はお客様の目に見えないところでコストがかかっています。例えば、水道光熱費・保険・設備点検といった固定費です。1軒や数軒での展開では、こうしたコストの相場感(適正なコスト)が分からないケースが多いようです。グループだからこそ相場感が分かり、また、ノウハウや知識があるため、お客様に提供するサービスの品質を落とさず、コストを大幅に下げることが可能なのです。抑えられるコストは抑え、その分をお客様や従業員へ還元していくよう取り組んでいます。
その他にも、ホテル・旅館の経営者や支配人は本来、孤独で、誰かに気軽に悩みや相談ができないものですが、ブリーズベイホテルは支配人同士が日本各地でつながっています。ホテル・旅館運営のノウハウや悩みを共有し、一緒に課題を解決していける「仲間」がいることも大きな魅力の一つです。
理想は、地元の従業員がリーダーとなり、ホテル・旅館を運営していくこと
承継における私たちの方針は、「グループの恩恵を受けられる部分は使ってもらい、今までの良い部分(そのホテル・旅館の強みやサービス)はそのまま残していく」です。理想は、地元の従業員がリーダーとなり、ホテル・旅館を運営していくことです。承継後には、おおよそ3〜6カ月の期間をかけて、ブリーズベイホテルのノウハウを従業員の方たちに伝え、一緒に実践していきます。基本的には以前から働いている従業員の方たちが運営を行い、お客様に愛されるホテル・旅館創りを担います。
ブリーズベイホテルの事業承継・譲り受けの歴史
ブリーズベイホテルは、2004年7月の創業時、2軒のシティホテルの譲り受けからスタートしました。その後もホテルや旅館を譲り受け、全国120軒の宿泊施設を運営する企業へと成長してきました。旅館・シティホテル・ビジネスホテル・リゾートホテルといったさまざまな形態の宿泊施設の運営を安定化させた実績を受けて、約10年前から後継者不在のホテルや旅館から事業承継の相談が届くようになり、これまでに複数の宿泊施設を承継しています。
地域で愛されているホテル・旅館の歴史を守りたい
前述のように、ホテル・旅館業界は事業の縮小・廃業が増加傾向にあります。私は、特に後継者不在問題は、業界のなかで大きな課題であると捉えています。2017年に、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した調査では、ホテル・旅館業界の50.6%が「後継者が決まっていない」という結果が出ています。2017年のホテル・旅館の施設数49,024軒より推計すると、約25,000軒もの施設が後継者不在問題を抱えています。今後、事業承継が円滑に進まない場合、地域で愛されているホテルや旅館が廃業し、地域経済や地域の雇用にも影響を及ぼす可能性があります。
全国のホテル・旅館の承継を1軒でも実現したい。このような想いで、私たちは今回の公募企画を実施しました。