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学習塾のM&A動向・事例13選・メリット【2022年最新】

少子化などの影響により、学習塾業界ではM&Aが活発です。学習塾のM&Aでは、優秀な講師確保やサービスの質向上などのメリットを得られます。学習塾によるM&Aの動向や最新事例、メリットを詳しく解説します。(中小企業診断士 鈴木裕太 監修)

M&A 学習塾 動向・事例

目次
  1. 学習塾業界の概要
  2. 2021年、2022年に実施された学習塾の最新M&A事例6例
  3. 大手学習塾によるM&A事例4例
  4. 学習塾と異業種企業のM&A事例3例
  5. 学習塾のM&A動向
  6. 学習塾がM&Aを行うメリット
  7. まとめ

学習塾業界の概要

はじめに、学習塾業界の定義や市場規模、動向、課題を解説します。

学習塾業界の定義

総務省が公表している日本標準産業分類では、学習塾を「小学生,中学生,高校生などを対象として学校教育の補習教育または学習指導を行う事業所」と定義しています。[1]
各教科の指導・補習を行う学習塾だけでなく、有名高校・大学等への進学を目的とした進学塾や予備校も含まれます。[2]

学習塾業界の市場規模

経済産業省が公表している「経済構造実態調査」によると、2020年における学習塾業界の市場規模(年間売上高)は1兆2,043億円でした。[3]
9,727億円であった2013年と比較すると、市場が拡大していると言えます。[4]

学習塾 市場規模出典:特定サービス産業実態調査経済構造実態調査(経済産業省)をもとに弊社作成

2020年にフォーカスすると、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、3月〜6月にかけて市場が一時的に縮小しました。[5]
同年2月に全国一斉での休校要請が行われたことや、4月に1回目の緊急事態宣言が発令されたことを理由に、できる限り他人との接触を避ける動きが広まったことで、学習塾の市場が縮小したと言われています。
ただし、同年後半にかけて市場は回復しています。[5]

M&A・事業承継
学習塾の売却相場・売却金額算出方法とM&A動向を解説

学習塾における売却金額の相場は、教室数や生徒数、ブランド力などによって左右されます。学習塾のM&A動向と売却金額の相場・算出方法、高額売却を実現するポイント、近年の売却事例をくわしく解説します。(執筆者:京都大学 […]

学習塾業界の動向・課題

2022年現在、学習塾業界は以下3つの状況に直面しています。

少子化の進行・1人あたり教育費の増加

文部科学省が公表している「令和3年度学校基本調査」によると、1980年代前半以降、小学校・中学校・高等学校の在学者数は緩やかに減少し続けています。[6]
在学者数減少の背景には、少子化の問題があると考えられます。

在学者数 推移
出典:
令和3年度学校基本調査(文部科学省)

しかし一方で、少子化の影響にともない、子供1人あたりの年間教育費は1980年代〜2010年代にかけて右肩上がりに増加しました。[7]

1人あたり教育費
出典:
子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加(参議院)

1人あたり教育費が増えていることで、少子化の状況にもかかわらず、学習塾業界の市場は緩やかに拡大していると考えられます。

ただし、学習塾は小学生〜高校生までの生徒を主要な顧客としています。
したがって、少子化に伴う在学者数の減少は、長期的には市場の縮小につながる可能性があると考えられます。

人件費の上昇による利益率の低下

三井住友銀行が2019年に公表した資料によると、人材確保のための待遇改善などを理由に、学習塾における人件費は上昇傾向にあるとのことです。
費用構造の大部分を占める人件費が増えたことで、売上高が増えているにもかかわらず、利益率が低下している学習塾運営会社が増加しています。[8]

利益率の低下に対処するためには、不採算なエリア・校舎からの撤退やM&Aによるコストシナジーの創出などを通じて、費用面での効率化を図っていくことが重要であると言えるでしょう。

AI・IoTの普及、新しい学習範囲への対応に伴う経営環境の変化

教え方が大きく変革を遂げている点も、学習塾業界における大きなトピックの1つです。

たとえば、AIを活用した「オーダーメード学習」や、授業のネット配信を導入する学習塾が増えています。[8]
※オーダーメード学習:生徒の解答傾向などをAIが分析し、理解度を高める最適なカリキュラムを提供する方法
こうしたAI・IoTの普及が進むことで、個別指導に対する需要がさらに高まると考えられます。

また、小学校高学年を対象としたプログラミングや英語の必修化や、大学入学共通テストの開始などにより、学校教育や受験の在り方も大きく変化しています。[8]
学習範囲も大きく変わるため、各学習塾には変化への対応が求められるでしょう。

M&A・事業承継
AI企業のM&A事例17選 動向、売却のメリットも徹底解説

AI産業市場は急速に拡大しており、M&Aも活発です。AI産業の市場動向と、AI企業(AI関連技術・サービスを開発・提供している企業)のM&A・売却動向、メリット、近年のM&A事例を詳しく解説します […]

[1] 日本標準産業分類 大分類O-教育,学習支援業(総務省)
[2] 学習塾とは(コトバンク)
[3] 2020年経済構造実態調査報告書 二次集計結果 (経済産業省)
[4] 平成25年特定サービス産業実態調査(経済産業省)
[5] 学習塾の動向;少子化とコロナ禍の影響(経済産業省)
[6] 令和3年度学校基本調査(文部科学省)
[7] 子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加(参議院)
[8] 学習塾業界を取り巻く事業環境と今後の方向性(三井住友銀行)

2021年、2022年に実施された学習塾の最新M&A事例6例

この章では、2021年および2022年に実施された学習塾の最新M&A事例を6例紹介します。
事例では、M&Aの目的や背景、用いられた手法、取得価額などを紹介しますので、M&Aに対するイメージを深めることができます。

学習塾業界の最新動向を知りたい方や、M&Aを検討している方は参考にしてください。

【不動産仲介×学習塾】ヒューリックとリソー教育のM&A

譲渡企業の概要

リソー教育:学習塾「TOMAS」を運営[9]

譲り受け企業の概要

ヒューリック:不動産の所有・賃貸・売買・仲介業務を展開[10]

M&Aの目的・背景

譲渡企業:教育事業での連携強化
譲り受け企業:主力のオフィス賃貸事業に次ぐビジネスの育成[11]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年11月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ヒューリックがリソー株式の9.41%を取得(持株比率が10.97%から20.38%に上昇)[9]
  • 取得価額:約70億円[11]
M&A・事業承継
不動産仲介業のM&A動向と最新事例13選【2021年最新】

不動産仲介業界では少子化やDXの流れなどを背景としてM&Aが活発化しています。不動産仲介業界の現況とM&A動向、近年の事例を紹介し、M&Aを行うメリットや成功のポイントをくわしく解説します。(執筆 […]

【保育園×学習塾】さくらさくプラスとVAMOSのM&A

譲渡企業の概要

VAMOS:東京都内に中学受験メインの学習塾を3校運営[12]

譲り受け企業の概要

さくらさくプラス:関東を中心に73の認可保育園を展開[12]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:乳幼児期から小学校卒業に至るまでの教育をサポートする体制の確立、自社の不動産事業に関するノウハウを生かした事業開発・発展の実現

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年6月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:さくらさくプラスがVAMOSの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)[12]
  • 取得価額:1億5,000万円[13]
M&A・事業承継
保育園のM&A動向と最新事例、売却相場を徹底解説

保育園業界ではM&Aによる業界再編や経営多角化の動きが活発化しています。保育園業界の概要とM&Aの動向、事例、売却価格・相場についてくわしく解説します。社会福祉法人のM&Aに特有の問題も説明します […]

【学習塾×学習塾】早稲田アカデミーと個別進学館のM&A

譲渡企業の概要

個別進学館:早稲田アカデミー個別進学館に関する事業を運営(明光ネットワークジャパンが新設分割により設立)[14]

譲り受け企業の概要

早稲田アカデミー:小学生・中学生・高校生を対象とする進学塾を全国で展開[15]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:グループ内における集団指導と個別指導のシナジー効果強化、フランチャイズノウハウを活用した事業展開の加速、首都圏での個別指導ブランド100 校体制の早期実現[14]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年11月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:早稲田アカデミーが個別進学館の全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)
  • 取得価額:非公表[14]

【学習塾×学習塾】英進館とビーシー・イングスのM&A

譲渡企業の概要

ビーシー・イングス:中国地方で最大規模の学習塾を運営。広島県公立高校入試において多くの学校で合格者数No.1の実績を有する。[16]

譲り受け企業の概要

英進館:「英進館」や「花まる学習会」などのブランド名で、九州を中心に学習塾を展開[16]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:隣接エリアに基盤を置く譲渡企業との連携を図ることによる「指導力向上の実現」

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年10月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:英進館がビーシー・イングスの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)
  • 取得価額:非公表[16]

【学習塾×企業研修】ウィザスとアンガーマネジメントのM&A

譲渡企業の概要

アンガーマネジメント:アンガーマネジメントの企業研修事業を運営

譲り受け企業の概要

ウィザス:中核事業である「学習塾事業」と「高校・ キャリア支援事業」に加えて、「幼児・学童英語事業」 や「ICT 教育・能力開発事業」を幅広く展開

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:サービスラインの拡充、社会的ニーズに応えるサービスの提供実現

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2021年5月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ウィザスがアンガーマネジメントの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)
  • 取得価額:非公表[17]

【語学学校×学習塾】ブルーフレイムとBresto&CompanyのM&A

譲渡企業の概要

Bresto&Company:不動産仲介や小学生・中学生・高校生を対象とした個別学習塾の事業を展開

譲り受け企業の概要

ブルーフレイム:カリスマ英語講師として有名なイムラン・スィディキ氏が経営。英語教材の販売、英語オンラインのプログラム運営、英語コーチ・講師の育成事業、国内留学などの事業を展開。

M&Aの目的・背景

譲渡企業:主力事業への集中(譲渡対象事業からの撤退)
譲り受け企業:事業の拡大(学習塾による英語教育ノウハウの展開)

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2022年1月(公表)
  • 手法:事業譲渡
  • 結果:ブルーフレイムがBresto&Companyから小中学生・高校生向けの個別学習塾事業を譲り受け。出会いから約3ヶ月で成約。
成功事例
カリスマ英語講師が学習塾をM&A。日本の英語教育を変える試金石に

カリスマ英語講師として有名なイムラン・スィディキ氏。SNSや動画配信、セミナーなど、さまざまなメディアを通じた独特の英会話メソッドで高い評価を得てきました。そのイムラン氏が新たな英語教育の場としてM&Aを行ったの […]

[9] リソー教育の株式取得に関するお知らせ(ヒューリック)
[10] 会社概要(ヒューリック)
[11] ヒューリック、リソー教育の筆頭株主に 70億円追加出資(日本経済新聞)
[12] さくらさくプラスが学習塾VAMOSを完全子会社化(PR TIMES)
[13] 保育園のさくらさくプラス、学習塾を買収 1億5000万円(日本経済新聞)
[14] 個別進学館の株式取得に関するお知らせ(早稲田アカデミー)
[15] 会社概要(早稲田アカデミー)
[16] ビーシー・イングスの株式取得に関するお知らせ(英進館)
[17] アンガーマネジメント株式会社株式取得に関するお知らせ(ウィザス)

大手学習塾によるM&A事例4例

M&A学習塾 事例

次に、大手学習塾によるM&Aの事例を4例紹介します。
大手がどのような目的でM&Aを行ったかを知れば、M&Aを経営戦略に活かすヒントを得られるでしょう。

【学習塾×動画学習】ベネッセホールディングスとUdemy, Inc.のM&A

譲渡企業の概要

Udemy, Inc.:「教えたい人」と「学びたい人」をオンラインでつなぐプラットフォームを世界190か国以上に展開[18]

譲り受け企業の概要

ベネッセホールディングス:グループ全体で学習塾の運営や通信教育、介護などの事業を幅広く展開[19]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:講師や企業と連携した社会人向けの新規サービスの開発、「大学と社会を学びでつなぐ」をコンセプトとしたキャリア支援事業の開発など

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2020年2月
  • 手法:資本提携
  • 結果:ベネッセコーポレーション(ベネッセHDの子会社)がUdemy, Inc.に対して出資。これにより、Udemy社との日本における共同運営の独占権を取得。
  • 出資金額:5,000万米ドル(約55億円)[18]
M&A・事業承継
Webメディア売却の事例や相場を徹底解説【2021年最新版】

Webメディア売却の市場は近年拡大しており、さまざまな種類・規模のメディアが売買されています。Webメディア売却の動向や最新事例、メリット、売却金額の相場などをくわしく解説します。(執筆者:京都大学文学部卒の企業法務・金 […]

【通信教育×学習塾】ZEホールディングスと栄光ホールディングスのM&A

譲渡企業の概要

栄光ホールディングス:関東圏を中心に「栄光ゼミナール」ブランドによる学習塾を展開[20]

譲り受け企業の概要

ZEホールディングス:増進会出版社が本件M&Aを目的に設立した会社。増進会は「Z会」のブランドを通じて、全国の難関校志願者を対象とした通信教育事業や対面教育事業を展開。[20]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:従来の提携関係を超えた資本関係の強化を図り、「顧客個々の状況に適合した学習スタイルの提供」や「国内外から求められるグローバル人材の育成」などを実現すること

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2015年[21]
  • 手法:公開買付け(TOB)
  • 結果:TOBおよび株式等売渡請求手続きにより、ZEホールディングスが栄光ホールディングスの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を完全子会社化)。[22]
  • 取得価額:約128億円(TOBによる取得価額。買付株式数×1,550円で計算。)[21]

【学習塾×学習塾】ナガセとサマデイのM&A

譲渡企業の概要

サマデイ:M&Aを行った当時、現役高校生を主要な対象とした「早稲田塾」を東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で24校運営。AO・推薦入試の分野においてトップクラスのブランド力を保有。[23]

譲り受け企業の概要

ナガセ:「東進ハイスクール」や「東進衛星予備校」、「四谷大塚」などのブランドで小中学生〜高校生を対象とした学習塾を展開[23]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:自社グループの総合力・競争力強化

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2014年12月
  • 手法:新設分割、株式譲渡
  • 結果:サマデイ等が早稲田塾事業を新設分割により切り離し、設立された新設会社の全株式をナガセが取得(譲り受け企業が譲渡企業を完全子会社化)。
  • 取得価額:20億円[23]

【学習塾×学習塾】学研ホールディングスと文理学院のM&A

譲渡企業の概要

文理学院:M&Aを行った当時、山梨県と静岡県で30教室の学習塾を展開[24]

譲り受け企業の概要

学研ホールディングス:地域に根差した学習塾事業や家庭教師事業を展開[25]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:甲信越・東海地域における事業展開の加速[24]

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2017年11月[26]
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:学研ホールディングスが文理学院の全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を完全子会社化)
  • 取得価額:非公表[24]

[18] 世界最大級の教育プラットフォームを提供する米国Udemy社との資本提携について(PR TIMES)
[19] 事業内容(セグメント)(ベネッセホールディングス)
[20] ZEホールディングスによる公開買付けの開始に関するお知らせ(栄光ホールディングス)
[21] ZEホールディングスによる当社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ(栄光ホールディングス)
[22] 沿革(Z会グループ)
[23] 早稲田塾事業の会社分割等により設立される新設会社の全株式取得に関するお知らせ(ナガセ)
[24] 学研HD、山梨地盤の学習塾買収(日本経済新聞)
[25] 教室・塾事業(学研ホールディングス)
[26] 「株式会社 文理学院」の弊社グループインについて(学研ホールディングス)

M&A・事業承継
M&A成功事例40選 大企業・中小企業・業界別|2021年版

今回は大企業・中小企業別、業界別に厳選したM&A事例40選を紹介します。国内・海外の大企業事例から中小企業事例まで、譲渡・譲り受け企業の概要、M&Aの目的・M&A手法、成約に至るまでを解説します。 […]

学習塾と異業種企業のM&A事例3例

この章では、学習塾と異業種の企業がM&Aを行った事例を3例紹介します。
学習塾を運営する企業が、どのような業界の企業とM&Aを行っているかを知りたい方は参考にしてください。

【美容×学習塾】ヤマノホールディングスとマンツーマンアカデミーのM&A

譲渡企業の概要

マンツーマンアカデミー:やる気スイッチグループが全国展開する個別指導塾「スクールIE」のFC加盟店事業を主力ビジネスとして運営。関東圏で36店舗(2019年11月時点)を展開。

譲り受け企業の概要

ヤマノホールディングス:美容事業や和装宝飾事業などを中核事業として展開

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:教育領域への新規進出
譲渡企業:ヤマノHDが蓄積してきた他店舗展開ノウハウの活用により、従業員の採用難などの課題を解決し、事業を発展させること

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2020年3月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:ヤマノホールディングスがマンツーマンアカデミーの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)
  • 取得価額:4億7,000万円[27]
M&A・事業承継
美容室のM&A・売却【動向や成功事例、相場を徹底解説】

近年ではM&Aが一般化し、美容室についてもさまざまな目的・規模のM&Aが行われています。今回の記事では、美容室をM&Aで売買する方法やメリット、相場、成功の秘訣、オリジナル事例をくわしく解説します […]

【学習塾×旅行】市進ホールディングスとパス・トラベルのM&A

譲渡企業の概要

パス・トラベル:関西方面の大学や企業・個人を主要顧客として、ビジネスや学術などに関する旅行プランの企画・手配事業を展開[28]

譲り受け企業の概要

市進ホールディングス:小・中学生向け学習塾である「市進学院」や現役高校生向けの「市進予備校」、個別指導の「個太郎塾」などを展開[29]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:自社グループ事業とのシナジー効果創出

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2018年3月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:市進ホールディングスがパス・トラベルの全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を子会社化)
  • 取得価額:6,000万円[28]
M&A・事業承継
旅行会社・代理店の売却動向、メリット、M&A事例を詳しく解説

競争激化やコロナ禍に伴う経営環境の悪化により、旅行会社・代理店の売却は注目を集めています。旅行業界の現況や旅行会社の売却・M&A動向、メリット、2019年~2021年の事例を徹底解説します。(執筆者:京都大学文学 […]

【学習塾×建築工事】エス・サイエンスとなごみ設計のM&A

譲渡企業の概要

なごみ設計:建設工事業や内装工事業等などの事業を運営[30]

譲り受け企業の概要

エス・サイエンス:中学〜大学受験を目的とした集団授業・個別指導を行う学習塾を展開。教育事業以外には、ニッケル事業や不動産事業を展開。[31]

M&Aの目的・背景

譲り受け企業:自社の不動産関連事業との連携強化による「売上高の拡大」、「収益向上」、「財務体質の強化」

M&Aの手法・成約

  • 実行時期:2020年4月
  • 手法:株式譲渡
  • 結果:エス・サイエンスがなごみ設計の全株式を取得(譲り受け企業が譲渡企業を完全子会社化)
  • 取得価額:1億2,300万円[30]
M&A・事業承継
内装工事業の売却・M&A動向、メリット、事例【2022年版】

内装工事業界ではコロナ禍による事業不安定化や後継者難などを解決する手段としてM&A(会社・事業の売却)を活用する動きが広まっています。内装工事業の現状と売却動向、メリット、最新事例を詳しく解説します。(執筆者:京 […]

M&A・事業承継
建設業のM&A動向・売却事例・メリット【2021年最新版】

人手不足や市場規模の縮小などの影響で、近年建設業界ではM&Aの件数が増加傾向です。この記事では、建設業のM&A動向や最新の売却事例、事業売却のメリット、M&Aを成功させるポイントをくわしく解説しま […]

[27] マンツーマンアカデミーの株式取得に関するお知らせ(ヤマノホールディングス)
[28] 市進HD、旅行プラン企画・手配のパス・トラベルの発行済株式の100%を取得することを決議(日本経済新聞)
[29] グループのご案内(市進ホールディングス)
[30] なごみ設計の株式の取得に関するお知らせ(エス・サイエンス)
[31] 事業概要(エス・サイエンス)

学習塾のM&A動向

ここまで紹介した学習塾によるM&A事例からは、以下2つの傾向が読み取れます。

  1. 学習塾と異業種企業によるM&Aが盛ん
  2. 事業エリアの拡大・サービスの品質向上を目的とした学習塾同士のM&Aも多い

以下では、それぞれの傾向についてくわしく解説します。

学習塾と異業種企業によるM&Aが盛ん

ここまで見て分かる通り、学習塾によるM&Aに関しては、異業種企業を買収売却の対象としているケースが多いです。

たとえばベネッセHDや市進ホールディングスのように、新規事業開発やシナジー獲得などを目的に、異業種の会社を買収する事例が見受けられます。
逆に、ヒューリックやヤマノホールディングスのように、新しいビジネスとして教育領域に参入する目的で異業種企業が学習塾を買収するケースも少なくありません。

以上より、学習塾は他業種とのシナジー効果創出が期待でき、かつ新規参入するだけの魅力がある業界であると考えられます。

事業エリアの拡大・サービスの品質向上を目的とした学習塾同士のM&Aも多い

事業エリアの拡大やサービスの品質向上などを目的に、学習塾同士がM&Aを行うケースも少なくありません。

たとえば学研ホールディングスは、これまで手薄であった甲信越・東海地域での事業展開を加速させる目的で、同地域で学習塾を展開している文理学院を買収しました。[24]
また、九州に拠点を置く英進館は、隣接エリア企業との相互連携による指導力向上を図る目的で、中国地方で最大規模の学習塾を運営するビーシー・イングスを買収しました。

少子化による競争激化やニーズの多様化、変化する学習カリキュラムへの対応手段の一環として、M&Aによる「事業エリアの拡大」や「サービスの品質向上」を図っていると考えられます。

M&A・事業承継
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M&A(エムアンドエー)とは、Merger(合併)and Acquisitions(買収)の略で、「会社あるいは経営権の取得」を意味します。今回は、M&Aの意味・種類・目的・メリット・基本的な流れ・税金・ […]

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M&Aの市場は、後継者不足問題の深刻化などを理由に拡大してきました。しかし2020年は、コロナ禍の影響で市場が縮小しました。公認会計士が、M&Aの市場の動向および今後の展望を徹底解説します。(公認会計士 […]

学習塾がM&Aを行うメリット

最後に、学習塾がM&Aを行うメリットを売り手企業と買い手企業それぞれの視点で紹介します。

M&A 学習塾 メリット

売り手企業のメリット

売り手企業がM&Aによって学習塾単体、または会社ごと売却すると、下記3つのメリットを得られます。

  1. 後継者不足の問題を解決し、事業を存続できる
  2. 創業者利益の獲得が見込める
  3. 大手企業の傘下に入ることで、サービスの質向上を実現できる

以下では、各メリットをくわしくご説明します。

後継者不足の問題を解決し、事業を存続できる

親族や従業員等の中で後継者が決まらない場合、残る選択肢は基本的に「廃業」または「M&Aによる第三者承継」の2択となります。

廃業する場合、講師をはじめとした従業員は仕事を失います。
また、学習塾に通っていた生徒にとっては、学習のスタイルやスケジュールが崩れることになります。
経営者にとっては、収入源や社長としての地位などを失い、個人保証を設定している場合は会社の負債を背負うことになります。

一方でM&Aによって他社に会社を売却すれば、後継者がいない状況でも会社を存続させることができます。
そのため、学習塾の講師や生徒等に迷惑をかけずに済むでしょう。
大手企業が経営主体となることで、従業員の待遇が向上する可能性も考えられます。

また、経営者は会社を売却した(イグジットした)というステータスを得ることになります。
加えて、基本的にはM&Aに伴い個人保証からも解放されるため、会社の負債を背負わずに済みます。

M&A・事業承継
事業承継とは?メリット・流れ・かかる税金をわかりやすく解説

事業承継とは、会社の経営権を後継者に引き継ぐことをいいます。事業承継には親族内承継、社内承継、M&A(外部への承継)の3種類があります。今回は、経営者が事業承継をする理由、手法ごとのメリット・デメリット・流れ・か […]

創業者利益の獲得が見込める

経営者にとっては、M&Aに伴い創業者利益の獲得を見込める点も大きなメリットです。

どのくらいの金額で売却できるかはケースバイケースであるため、一概に「〜円が相場」と断言することはできません。
ですが、一般的には営業利益の数年分、事業の将来性や無形資産の価値が評価されればそれ以上の金額で売却できる可能性があります。

つまり、一度にまとまった金額の利益を獲得できる可能性があるのです。
売却により多額の資金を獲得することで、悠々自適な引退後の生活を送ることができたり、新しい事業を立ち上げたりすることが可能となります。

M&A・事業承継
イグジット(会社売却)とは?バイアウトとの違いも徹底解説

会社売却によるイグジットとは、会社の売却により投資資本を回収することであり、短期間でイグジットしやすい点がメリットです。バイアウトとの違いや、イグジット(会社売却)のメリットを公認会計士が解説します。(公認会計士 前田 […]

大手企業の傘下に入ることで、サービスの質向上を実現できる

零細〜中小規模の学習塾と比較して、大手の学習塾はたくさんの資金や顧客データ等の経営資源を有している傾向があります。

大手学習塾とM&Aを行い、その企業の傘下に入れば、潤沢な資金や顧客データ、データに基づいた指導ノウハウなどを活用できるようになります。
そのため、M&Aを行う前と比べて、サービスの品質向上を実現できる可能性があります。

買い手企業のメリット

買い手企業がM&Aによって学習塾単体、または会社ごと買収すると、下記3つのメリットを得られます。

  1. 新しいエリアへの進出や生徒数の増加を見込める
  2. ある地域に特有のノウハウや優秀な講師を獲得できる
  3. 低リスク・短期間で学習塾事業に新規参入できる

以下では、各メリットをくわしくご説明します。

新しいエリアへの進出や生徒数の増加を見込める

他のエリアで事業を行う学習塾を買収すれば、そのエリアで新たに学習塾事業を運営できるようになります。
また、生徒をたくさん抱えている企業を買収すれば、グループ全体での生徒数を増やすことが可能です。

以上のように、事業規模の拡大を図れる点は、学習塾が同業他社を買収する大きなメリットと言えます。

ある地域に特有のノウハウや優秀な講師を獲得できる

地域によって、受験の出題範囲や定期テスト・内申書の点数を高めるポイントなどは変わってきます。
学習塾で安定的に生徒を集客するには、その地域の受験や学校におけるテスト・内申書に対応できるノウハウを持っていることが重要となります。

M&Aによって別の地域で実績がある学習塾を買収すれば、その地域に特有のノウハウを取得できます。
そのため、自力で一から新しいエリアを開拓する場合と比べて、よりその地域での学習塾運営で失敗しにくくなります。

また、学習塾を買収すれば、優秀な講師を一度にまとめて確保できる可能性もあります。
一般的に、優秀な講師を確保・育成するには多大な予算や労力がかかります。
そのため、買収に資金を投じて優秀な講師を確保した方が、人材確保に必要なコスト・時間の削減につながる場合もあります。

低リスク・短期間で学習塾事業に新規参入できる

ここまで説明したとおり、学習塾の事業を軌道に乗せるには、講師の育成・確保や生徒の集客、ノウハウの確立など、たくさんの課題をクリアする必要があります。
また、マーケティングや教室の確保等に多大な費用がかかるため、失敗した場合の損失も大きなものとなります。

一方で、すでに事業が軌道に乗っている学習塾を買収すれば、一から講師の確保や生徒の集客等を行わずに学習塾事業に参入できます。
そのため、一から新規参入する場合と比べて、より低リスク・短期間で事業を軌道に乗せることができると言えます。

M&A・事業承継
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まとめ

少子化や学習範囲の変更などにより、学習塾業界を取り巻く環境は変革期を迎えています。
変化への対応を怠ると、生徒のニーズを汲み取ることが困難となり、結果的に業績の低下につながるおそれがあります。

変化に取り残されず、市場で生き残る手段の一環としてM&A(買収・売却)は有効な手段となり得ます。
事業の存続・成長を実現したいと考えている経営者の方は、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

(執筆者:中小企業診断士 鈴木 裕太 横浜国立大学卒業。大学在学中に経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士資格を取得(休止中)。現在は、上場企業が運営するWebメディアでのコンテンツマーケティングや、M&Aやマーケティング分野の記事執筆を手がけている)