会社を売りたい方は必見。会社売却のメリットや手続きを徹底解説
- 記事監修: 前田 樹 (公認会計士)
後継者不足などを理由に、会社を売りたいと考える方が増えています。会社を売ると、利益獲得などのメリットを得られます。会社を売りたい経営者の方に、会社売却のメリットや手法、手続きを詳しく解説します。
3分ほどでM&Aの一連の流れを簡単に知りたい場合にはこちらの記事をご覧ください。
近年、日本国内のM&A件数は増加傾向にあり、2019年には年間4,000件を超えるM&Aが実施されました。日本の社会的な課題として少子高齢化が挙げられますが、その課題解決の一つの方法がM&Aです。
多くの中小企業が後継者不足に悩まされていますが、後継者探しの一環としてM&Aを選択するケースが増えてきています。親族内承継と比べて、M&Aは会社や事業を売却することで会社・事業売却益を得られる点がメリットです。
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まずは会社を売却することで得られるメリットについて、廃業と比較しながら解説していきます。
会社を売るメリットは以下の5つです。
まず得られるメリットの一つが会社を売却することでまとまった金額を得られることがあげられます。
まとまった資金は次の事業展開に必要な資金、老後の資金などさまざまな用途に使うことができます。
売却金額は会社の業績や財務状況、また、規模によって異なりますが、数千万円から数億円になることもあります。
当初の投資資金と売却金額の差額がプラスであれば、譲渡益として所得税と住民税、20.315%の税率がかかります。
税金がかかったとしても概ね20%を控除した売却金額の80%程度の資金が手元に残ります。
この残った資金は先述した用途に使うことができるのです。
現在、日本の社会は少子化が進んでいます。
その結果、経営者が会社を事業承継しようとしたタイミングで後継者がいないということが起きています。
また、経営者や経営者の子供の価値観も変化してきています。
経営者は子供に自分と同じ思いをさせたくないと考え、また子供側も親の会社を引き継ぐことが当たり前ではなく、親と違う仕事を選択するという価値観に変化しています。
その結果、後継者がいない企業が増加しています。
会社を売却すればこれらの問題は解決され、後継者がいない企業でも事業承継を行うことができます。
会社を運営していると会社の債務に対して個人保証を設定されることがあります。
会社が金融機関などから融資を受ける時に連帯保証が求められ、会社経営者が個人保証として設定されます。
連帯保証は、金融機関から支払請求された場合には会社とともに支払う必要が出てきます。
個人保証は、新規の事業展開をできないことや自分自身の生活にリスクを及ぼす可能性があるなど、経営者にとって負担となります。
また、このような事情の中で、会社を親族などに引き継がせることは難しく、足かせになってしまいます。
会社を売却すると、個人保証も含め、買い手企業に引き継がれることが一般的で、個人保証から解放されることになります。
個人保証が設定されている場合には、会社売却することで得られるメリットの一つとなります。
解放されることがよいか悪いかは個人によって異なりますが、会社を売却するとそれまでの業務から解放されることになります。
会社を作って、自分の好きな業務であっても、年齢を重ねるごとに重荷になってしまうこともあります。
また、規模が大きくなると、従業員を雇ったり、取引先との取引も多くなったりとさまざまな人の生活に影響します。
これらは経営者にとって重たい責任となってしまいます。
会社を売却するとこれらの重荷や重積から解放され、次のステップへ進むことも可能となります。
会社を売却することで買い手企業の下で更なる事業の成長ができる可能性があります。
それは資金面でもノウハウ面でも、また、人や設備などの面でも補完してもらえる可能性があるからです。
また、買い手企業が同様の事業を営んでいれば、販路や技術などさまざまな面でシナジー効果が期待できます。
会社を売却することで、これらの効果を活用でき、事業の成長に向けてのメリットを得ることができます。
一方で、会社を売ることでいいことだけではありません。
次にデメリットを解説していきます。
会社を売却するタイミングで契約書を締結することになりますが、その中の条項で必ずと言っていいほど入ってくるのが競業避止義務です。
ここでいう競業避止義務とは、売却した会社の競合するような事業を行なってはいけないという義務となります。
要は同じ事業を売り手側の経営者がやってしまうと買い手企業が不利益を被る可能性があるため、同様の事業は行なってはならないとされるのです。
また、契約書に当該事項がなかったとしても、事業譲渡の場合はさらに注意が必要です。
会社法において同一あるいは隣接の市区町村の区域内で譲渡事業と同一の事業を20年間行うことができないとされているため、事業譲渡で会社を売却する場合にはこちらも注意が必要となります。
これらのリスクは新たに事業展開を検討している場合に留意が必要となりますが、特段予定がなければ問題とはなりません。
ロックアップとは、別名キーマン条項とも呼ばれ、売却後も一定期間売却される会社で働かなければならないことを指します。
売却されることで売却された企業の事業がうまくいかなくなることを防ぐために設定されるのですが、引退したい場合や新たに事業展開をしたい場合などにとってはネックとなります。
そのため、当該条項を外した上で契約を進めたいと考えますが、外すことで売却金額に影響するケースなどもあり、なかなか外すことはできません。
一から事業を開始して自由にやってきた経営者にとっては拘束されることが苦痛となりますが、上述の話もあるので交渉の中でうまく解決していく必要があります。
会社売却・M&Aという言葉を聞くと「身売り」、「会社が危ないのではないか」という間違った印象を与えてしまう場合があります。従業員に説明不足のまま、会社売却を進めてしまうと、会社や経営陣に対する信頼がなくなってしまうリスクもあります。
会社や事業を売却する際は、取引先、従業員など様々なステークホルダーに対して、悪いイメージを与えないよう、慎重にコミュニケーションを取る必要があります。
会社を売ることのメリット・デメリットを見てきましたが、次に具体的な手法を解説していきます。
会社を売却する場合に代表的な手法なのが株式譲渡です。
株式譲渡とは、売却対象の会社の発行済株式を他者に譲渡することで、会社を売却することとなります。
M&Aの中でもよく用いられる方法となっています。
株式譲渡を用いるメリット及びデメリットは以下の通りとなります。
株式譲渡と比較されることが多いのが事業譲渡です。
事業譲渡とは、組織化された有機一体として機能する財産の全部または一部を他者に譲渡することで、会社を売却する方法となります。
事業譲渡を用いるメリット及びデメリットは以下の通りとなります。
会社分割には、新設分割と吸収分割の2つの方法があります。
新設分割とは、1または2以上の会社が分割する事業で有する権利義務の全部または一部を分割により新たに設立する会社に承継させる組織再編のことをいいます。
一方、吸収分割とは、1または2以上の会社が分割する事業で有する権利義務の全部または一部を分割により他の会社に承継させる組織再編のことをいいます。
会社分割を用いるメリット及びデメリットは以下の通りとなります。
株式交換とは、完全子会社(売り手企業)となる会社の株主が保有している株式を完全親会社(買い手)となる会社の株式と交換する方法をいいます。
当該手法を用いることで売り手企業が買い手企業の完全子会社となります。
株式交換を用いるメリット及びデメリットは以下の通りとなります。
会社を売りたい場合、下記書類は必要になります。一般的な株式譲渡制限がある未上場株式を前提としています。
上記以外にも、デューデリジェンスの際には、登記簿謄本、定款、会計書類など基本的な書類が必要になります。
会社を売却する場合の具体的な手続きや流れを解説していきます。
まずは準備フェーズとなります。
会社を売却することを決めたら、売却にあたって具体的な目標を設定して、会社の売却戦略を策定していきます。
具体的な目標や戦略がなければ、M&A成立までたどりつけない可能性が出てきます。
また、たどりついたとしても適切な相手先を選べない場合やうまく売却が進まない場合などの失敗するリスクが出てきてしまいます。
そのため、後継者の獲得、ブランドや雇用の維持など具体的な目標を設定する必要があります。
また、なぜ会社を売却するのか、今後の会社をどのようにしていくのか、また、どのような相手先に売却して成長する絵姿にするのかなどの戦略も策定する必要があります。
目標や戦略を策定することで今後の進め方のメルクマールとなり、スムーズに進めることができるのです。
目標の設定や戦略の策定ができれば、次のステップに進んでいきます。
具体的な目標の設定や戦略の策定が終われば、具体的にM&Aを進めていくことになります。
M&Aを進めるにあたっては専門知識や豊富な経験が必要となります。
その際に活用できるのがM&A業者となります。
M&A業者には、FA(ファイナンシャルアドバイザリー)をはじめとして、DD(デューデリジェンス)やPMI(経営統合)などの業務を依頼することになります。
FAではM&A全般の業務を依頼することで相手探しなどの業務を行ってもらうことができます。
M&Aにおいて相手企業を探すことは大変な業務となります。
売り手企業は売却先候補の企業をリストアップし、適切な売却先を絞っていきます。
売却先候補については、ロングリストやショートリストと呼ばれるリストを作成し、自社の希望にあった会社に絞り込んでいくことになります。
FAや仲介会社に業務を依頼することでこれらのリストを作成してもらうことで、スムーズに売却先を選択することができます。
売却先が選択できれば、売り手企業はノンネームシートと呼ばれる会社の概要、売却目的、売却金額規模などが記載されたものを作成します。
売却先にFAや仲介会社を通じて持ち込んでもらい、興味のある会社を探していきます。
興味のある会社が出てくれば、NDA(秘密保持契約書)を締結してより詳細な情報が記載されたIM(インフォメーションメモランダム)が提示されることとなります。
売り手企業の概要や組織、雇用状況、財務データ、事業計画などの情報から暫定的な分析を行い、本格的な交渉に進むかを検討します。
本格的な交渉に進む会社が出てくれば、次ステップに進んでいきます。
相手先が見つかると交渉フェーズに入っていきます。
相手先が見つかると基本条件の交渉がスタートします。
買い手側と基本条件について交渉を行い、話がまとまれば基本合意書の締結に進んでいきます。
相手先の意向や金額感などを考慮しながら、売却スキームを検討していきます。
あくまで暫定的に決めるものでこの先のプロセスを経て変更されることもあります。
上述の通り、スキームについてはさまざまな方法があり、それぞれのメリット・デメリットを勘案しながら、選択されます。
法務面や税務面などに影響があるため、弁護士や税理士などに相談しながら進める方がよいでしょう。
スキームが決まればある程度の金額感が固まり、金額感とともに基本条件の検討が進んでいきます。
トップ面談は実際に経営トップ同士が面談を行うことで、それぞれの経営に対する考え方、売却後のビジョンなどを話し合う場となります。
売却後のビジョンが異なるとそれぞれにとってうまくいかなくなる可能性もあるため、それぞれの考え方などを意見交換することでさらなるステップに進んでいくか検討を進めます。
スキームや金額感、基本条件などが固まり、トップのビジョンに違和感などがなければ意向表明書の提出に進みます。
必ずしも意向表明書が提出されるとは限りませんが、買収に進んでいくのかどうかについては伝えられることとなります。
買収意向があるのであれば、提出された条件を元に売り手企業と交渉するかを検討し、継続するのであれば次のステップである基本合意へと進んでいきます。
意向表明書が提出され、交渉が進み、ある程度の交渉条件がまとまった段階で最終契約書に向けて条件の骨子がまとめられた基本合意書を締結します。
基本合意書は法的拘束力を持ちませんが、最終の契約書締結に向けた骨子となるため、最終契約書の方向性が定められることになります。
また、基本合意書には金額なども記載されることとなりますが、あくまでデューデリジェンス前のタイミングであるため、デューデリジェンスの結果により価格は変更される旨は記載されることとなります。
基本合意書が締結されるとデューデリジェンスと呼ばれる企業調査が実施されます。
デューデリジェンスの範囲は、財務・税務、法務、システム、人事など範囲が広く、必要に応じて選択されることになります。
売り手企業はデューデリジェンスに協力する必要があり、資料の準備、質問対応などを行うこととなります。
また、デューデリジェンス実施後、買い手ではデューデリジェンスの結果を踏まえ、バリュエーション、いわゆる企業価値評価が実施されます。
デューデリジェンスで提出された事業計画や発見された問題点などをベースに企業価値が評価されます。
そして、デューデリジェンスで発見された問題点やバリュエーションの結果に基づき、最終契約書の条件交渉が行われます。
契約書締結に向けて、契約書に織り込む条件や金額などの最終の条件交渉が行われます。
最終の条件交渉がまとまれば、契約書の締結に向かいます。
最終契約書では、コベナンツや表明保証、クロージング条項などが織り込まれます。
コベナンツとは、クロージング前後に売り手や買い手の果たすべき義務のことをいいます。
また、表明保証とはデューデリジェンスで発見された事項以外にリスクがある項目が存在しないことを表明し、保証することをいいます。
そして、クロージング条項はクロージングを実施するために満たしておく必要がある条件のことをいいます。
これらの条項などが織り込まれた契約書で締結されることで売却の前提が成立します。
契約書が締結されるとクロージングフェーズに入っていきます。
クロージングに向けては株式譲渡の手続き、債権者保護手続きや独占禁止法関係の手続き、また、先述した契約書に記載された条項などの準備が必要となります。
クロージングに向けて、複数の株主が存在している場合などは株式を買い集める、あるいは事前に準備をして譲渡時にスムーズに手続きが進められるよう準備をしておく必要があります。
また、譲渡制限株式会社の場合、株式譲渡を行う場合、取締役会・株主総会での承認が必要となります。
また、スキームや取引の条件によって債権者保護手続きや独占禁止法関係の手続きなどの準備が必要となります。
債権者保護手続きや独占禁止法関係の手続きなどはある程度の期間が必要であるため、事前に要否を確認して準備をしましょう。
先述した契約書に記載された条項のうち、クロージングまでに対応が必要な条項について対応していきます。
代表的な条項で、チェンジオブコントロールや許認可の届出などがあげられます。
重要な取引契約にチェンジオブコントロール条項は含まれている場合に、取引先から継続の同意を得ることが必要となります。
これらの手続きがクロージングに向けて必要な準備となります。
株式譲渡の場合、対価の支払とともに株式を譲渡することで成立します。
譲渡が成立すれば、株式の名義書換を行います。
事業譲渡の場合は、承継される権利義務などを個々に移転するため、クロージング日に全ての手続きを完了することは難しく、クロージング日から数日程度かかってしまうことが一般的となっています。
また、対価に関してもクロージング日に支払われることもありますが、価格調整条項などが入っている場合には支払日は別途条件が設定されているケースもあります。
そのほかのスキームの場合は、契約書で規定された効力発生日に契約が成立します。
クロージングが完了するとPMI(ポストマージャーインテグレーション)と呼ばれる経営統合フェーズとなります。
このPMIが成功するかしないかによって、M&Aが成功したと言えるのかというぐらい重要な作業となります。
短期プランの実行に向けては、3〜6ヶ月以内の統合作業についての短期プランを策定します。
短期プランに基づき迅速に実行に移していきます。
デューデリジェンスで発見された指摘事項や、組織、人事制度、各種規定などを買い手企業のもの統合していく作業など短期間で解決すべき項目が短期プランでは対応されていきます。
短期プランと並行して中長期プランの策定が行われます。
現状分析から中長期的に対応すべき課題を抽出し、アクションプランに落とし込んでいきます。
それぞれの課題に対して具体的に落とし込むことで進捗管理が可能となり、効果の検証も可能となります。
PMIでは課題を解決するために計画を進めていき、進捗管理をするとともに、実行した内容に対して効果の検証することでより実効性の高い内容となっていきます。
では、経営者が会社を売りたいと考える理由は何なのでしょうか。
経営者が会社を売却したい理由は以下の3つです。
経営者が会社を売却したいと考える理由として、事業の成長スピードを加速させたいということがあげられます。
自分で会社をやっていると資金面でもそうですが、ノウハウ面や販路や組織面などさまざまな面で限界があります。
会社にとっての成長を進めるために、会社を売却することで自分ではできなかったものを手に入れることができる可能性があります。
資金面、ノウハウ面などのサポートに加え、シナジー効果により、成長を加速させることが可能となるため、経営者は会社の売却を検討するのです。
会社経営者は孤独で相談相手もなかなかいません。
そんな中、例えばコロナのような状況を目にすると今後の会社経営について不安になります。
その結果、経営者は自分で経営し続けることに対して不安を抱え、会社を売却することでそれらの不安を解消することを考えます。
会社経営者は会社経営の先行き不安により、会社の売却を考えるのです。
会社経営者は自分の生活はもちろんですが、雇っている従業員の生活に対しても責任を持っています。
会社経営者が高齢で事業をやめたいと考えても、従業員を雇っている場合にはこれらの従業員の雇用をどうするかが問題となります。
また、取引先も同様で、取引がなくなることで取引先への影響が全くないことはなく、場合によっては経営に影響が出てくるケースもあります。
これらの事象を解決してくれるのが会社売却なのです。
会社を売却することで雇用は維持され、取引先との取引も維持されます。
会社を売却する場合、トラブルに巻き込まれないよう適切な打ち手を、適切なタイミングで実施していく必要があります。売却プロセスを進めるうえで注意すべき点を紹介します。
会社売却を成功させるためには、売却のタイミングは重要です。業界再編が進んでいる時、業界全体の景気が良い時、新規参入を狙っている譲り受け企業が増えている時などは売却しやすくなります。
他方で、業界全体や自社の業績が不調な時には、売却候補先が見つかりにくく、希望条件で売却できない可能性が高まります。
会社売却プロセスを進めたとしても、必ずしもすぐに売却できるとは限りません。交渉が長引く可能性も踏まえ、節税のしすぎなどキャッシュアウトを抑えることが大切です。
M&Aが進んでいる中でも通常の経営を続けるようにしましょう。利益を生みだせない会社には、譲り受け企業が集まりづらいことを頭に入れておく必要があります。
企業価値の算出方法は、下記4つの手法があります。
簡易的な算出方法は、「純資産額+純利益×年数(2~5年)」で企業価値を算出する方法です。2~5年は、業界やビジネスモデル、自社の経営状況によって変動します。主に小規模な案件の際に使われる計算手法です。
DCF法とは、売却する会社が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引くことで企業価値を算出する方法です。将来の事業計画を元に企業価値が算出されるため、スタートアップ企業など、将来の成長性が高い企業に採用されることが多い手法です。
譲り受け企業から見ると、事業計画の達成可能性が低い場合、割高な企業価値になってしまうリスクに留意する必要があります。
類似会社比準法とは、売却する会社に似た上場企業の株価を基礎として、対象会社の企業価値を算出する方法です。例えば類似した上場企業がPER10倍で株式市場において評価されている場合、売却する会社もPER10倍で企業価値を計算します。
類似する上場企業がある場合に採用される計算手法です。類似する上場企業がない場合には、正しく企業価値が算出されないリスクがあります。
修正簿価純資産法とは、売却する会社の貸借対照表を時価評価した後の純資産で評価する手法です。多額の含み益のある土地を保有している際などに使われる計算手法です。
将来の事業計画が反映されず、現時点の清算価値しか企業価値に反映されないため、評価額が小さくなってしまうリスクに留意する必要があります。
経営者は当然ながら自分の会社を高く売りたいと考えるはずです。高く売るための重要なポイントを3つ紹介します。
会社売却はプロセスを進めればすぐに誰でも売却できるわけではありません。譲り受け企業がなかなか見つからない場合には、かなりの時間を要するケースもあります。
売却金額、スケジュール、従業員の処遇など、会社売却を行ううえで交渉に関する優先順位を明確化しておくと、スムーズに交渉を進めやすい利点があります。
自社の収益性・信用力が高ければ高いほど、高値で売却できる可能性が高まります。収益性は譲り受け企業がM&Aを検討するうえで最重要ポイントの一つです。
また、資料の正確性や経営者の正直さ、レスポンスの速さといった会社の透明性は、会社全体の信用力に繋がります。譲り受け企業が不安にならないように、デューデリジェンスに必要な資料は入念に準備しておくと良いでしょう。
株主が分散している場合には、売却プロセスを進める前に自身に株式を集約させておくことが望ましいとされます。
株主が分散していると、売却する、売却しないなどの意思決定が分散してしまい、譲り受け企業が必要とする議決権が集まらない可能性もあります。株券発行会社の場合は、現物の株券を集める必要があるため、特に注意しましょう。
会社は赤字でも売却することが可能です。例えば、現在は赤字でも将来の黒字化が見込まれる場合、得難い人材やノウハウを持っている場合、多額の含み益がある資産を保有している場合、譲り受け企業とのシナジーが大きい場合などが挙げられます。
譲り受け企業は、買収後も赤字が続くようだと投資資金を回収することができません。経営改善によって黒字化する、譲り受け企業との相互シナジーを加味するなどの方法で、投資資金を回収する目途がある場合には、譲り受け企業は買収の経営判断ができます。例え赤字であったとしても、会社売却を諦めず、相談してみることが大切です。
会社を売る際は、M&A専門家の力を最大限活用することが重要です。譲り受け企業を自力で探すことは難しく、売却プロセスを進める際にも専門的な知見・ノウハウが必要になります。
M&Aの相談先の中で、おすすめなのはM&Aマッチングサイトです。M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザーに比べて、比較的報酬額が小さく、売却益を最大化することができます。
M&Aサクシードは経営者のための法人・審査制 M&Aマッチングサイトです。審査を行うことで優良な譲り受け企業が集まっており、着手金・中間報酬が無料で譲渡対価の5%が成功報酬としてかかるのみです。無料相談も行なっており、会社売却を考えた際には気軽に相談することができます。
ここまで会社を売るメリットや手続きなどについてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
会社を売ることはなかなか出くわすことはありません。
むしろ経験する人はかなり少ないと思います。
自分で創業した会社を売るとなると思いも強く、自分が希望した条件で売り、売却後も会社が順調に成長してほしいと考えるでしょう。
会社の売却で失敗しないように事前に情報を収集し、必要な手続きや書類などを調べるなど準備をしておき、いざ進めるにあたっては専門家などをうまく活用して進めていきましょう。
そうすることで自分の描いた通りに会社の売却は進み、成功に繋げることができるでしょう。
(執筆者:公認会計士 前田 樹 大手監査法人、監査法人系のFAS、事業会社で会計監査からM&Aまで幅広く経験。FASではデューデリジェンス、バリュエーションを中心にM&A業務に従事、事業会社では案件のコーディネートからPMIを経験。)
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