VR/AR開発に強みをもつ企業の価値が評価され、初回面談で合意 M&A直後からグループ間でシナジーを生む
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株式会社COMBO 事業概要:VR/AR開発などシステムの受託開発、製品開発 本社所在地:宮城県 従業員数:34名 譲渡理由:事業の成長のため
株式譲渡- 譲り受け
株式会社テクノデジタル(旧:株式会社テクノモバイル) 事業概要: デジタルサービスの構築・グロース支援 本社所在地:東京都 譲り受け理由:事業拡大のため 従業者数:175名
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M&Aに大切なのは、一緒になることでより良い未来を描けるか、働く社員が幸せになれるかです。それを体現されたのが、モバイルアプリやWebシステム開発を強みとする株式会社テクノデジタルと、VR/AR開発を強みとする株式会社COMBOのM&Aでした。初回の面談で経営者同士が合意し、2か月で成約。成約後は早速シナジー効果を発揮されている、株式会社テクノデジタル代表取締役の播田 誠氏と、株式会社COMBO代表取締役の小岩 忍氏に、具体的にどのようなM&Aをされたのか、お話を伺いました。(2021年3月公開)※2021年5月、株式会社テクノモバイルから株式会社テクノデジタルに社名変更
VR/ARに強みを持つCOMBO社を選んだ理由
――今回、M&Aを検討した背景について、それぞれの立場から教えてください。
COMBO 小岩 私はもともと1人でシステム開発のCOMBOを経営していました。それが、2020年4月に知り合いの経営者から、札幌にあるシステム開発事業を譲り受けることになったんです。
急に1人から25名に規模が拡大したことで、当然、資金面は不安になりましたが、技術力の高いエンジニアが揃っているので、そのスキルを生かせる仕事を全国各地から受注できるよう奔走しました。
ただ、新型コロナウイルスの影響もあって、このまま私一人だけで25名の生活を守るのは難しいのではないかと思うようになったのです。
そこで、先手を打つためにも、技術力が高くて大規模案件を持つ首都圏の企業との事業連携を目指して、8月にM&Aサクシードに登録しました。
テクノデジタル 播田 テクノデジタルは、M&Aを重要な経営戦略に置いており、「既存事業のバリューチェーンを広げる」「優秀なエンジニアの獲得」という2軸で、私自らが積極的にM&A先を探していました。
M&Aサクシードで新着情報を見るのは毎日の日課だったので、2020年8月半ばに「札幌にある25名のエンジニア組織」「VR/ARに強みがある」というCOMBOの情報を見て、すぐに連絡を取りました。
初回の面談で合意。スピーディーな意思決定
――お互いの最初の印象はいかがでしたか?
播田 何度かメールでやり取りをして、2週間後に初めてお会いしました。最初から印象が良くて、会社の概要や強み、連携できる接点などを聞いているうちに、その場でご一緒するイメージがわいたのです。
それに、全国各地で営業をしている小岩さんのフットワークの軽さと、いろんなことに挑戦しようとするアクティブさも魅力で、初対面でしたが「ぜひご一緒しましょう」と話しました。
小岩 お互いがその場で合意しましたね。約10社からお声がけいただき、実際にお会いしたのはテクノデジタルを含めて2社でしたが、播田さんとお会いした日に意思決定をしたので、その日のうちにもう1社はお断りしました。
――初回の面談で、お互いに意思決定とは早いですね。
播田 テクノデジタルはもともと徳島と大阪に拠点を持っているので、地方展開も視野に入れていたんです。なかでも、札幌はエンジニアが多いので今後の採用戦略に優位ですし、定着率も高いという魅力もありました。
小岩 私は、お会いした瞬間に、メールのやり取りでイメージしていた人物像と同じだとわかり、「この人とならご一緒できる」という直感がありました。
COMBOはVR/AR開発を主軸にした、20代半ばから30代半ばをボリュームゾーンに持つ組織です。それに加えて、60歳のベテランエンジニアも在籍しているなど、多彩な技術力を持っていることが強みで、そこも播田さんの意思決定に寄与したと思います。
社会情勢が変わったからこそ、一緒に攻める
――それだけ合意が早いと、お話を進める中で壁になったことはなかったでしょうか?
小岩 M&Aを経験したことがなかったので、今後会社はどうなるのか、社員はどう思うのかは気になっていました。だから、社員にはM&Aを予定していることを早めに話しました。
すると、東京のテクノデジタルと一緒になることで、技術力が上がるのではないか、新しく面白い仕事ができるのではないかとプラスに捉えてくれて。札幌の環境を変えないでいいことも安心材料になったようで、賛同を得られました。
播田 初期の懸念は、コロナ禍で社会情勢が変わり、営業面が厳しくなっているなかでもCOMBOをしっかりと支援できるか、我々はその覚悟を持てるかどうかでした。
でも、厳しい状況下でこそ、前を向いて取り組む必要があるし、“攻め”の姿勢を持たないといけません。小岩さんが持つポテンシャルでみんながワクワクするようなことを生み出し、我々がしっかりとバックアップすれば、すごくいい未来を描けることは見えていたので、その壁は容易に越えられました。その結果、最初の連絡から2か月後の10月に一緒になりました。
すぐに連携体制が構築でき、社員の士気も高まる
――今回は、M&Aでどのような組み方をされたのでしょうか?
播田 100%子会社ではなく、テクノデジタルがCOMBOの株式を90%取得する形で、グループに参画いただきました。これからCOMBOとしてやりたいことをサポートしながら、連携を強めたいと考えています。
よく、2社間で連携したいと考えていても、面倒だからと実際は社内のメンバーだけで回してしまうケースは多々あります。でもテクノデジタルの主要メンバーにCOMBOのメンバーと直接会ってもらったところ、「すぐに連携できる」とすごく高評価だったんですね。
結果、10月に一緒になったばかりですが、2か月たった現在、開発案件を相談しあう関係性がすでに築けていますし、しかもテクノデジタルだけでなく、大阪にあるシステム開発の子会社も含めた3社での連携体制ができました。
すでに、COMBOの得意領域であるVR/ARの案件はCOMBOにお願いするという認識が営業メンバーにも定着しており、他の案件も含めてやり取りは活発です。成約2か月後の12月の経営会議で稼働状況を見ると全員がフル稼働していました。
――グループ全体がチームとして動いているのですね。
播田 そうですね。チームで助け合いながら成長したいと考えています。M&A時に大阪の子会社社長に「COMBOをサポートしてほしい」と話をしたところ、現在はCOMBOの取締役を兼任してくれていて、それも3社連携がうまくいっている要因だと思っています。
小岩 COMBOのメンバーも、テクノデジタルグループと仕事のやり取りをするようになってから、「大規模プロジェクトに参加したい」といったポジティブな声がたくさん挙がるようになりました。社員のモチベーションが高まっているのを感じています。
――事業拡大にも社員のモチベーション向上にも寄与したM&Aだったのですね。M&Aを成功させるために大切なことは何でしょうか。
播田 大切なのは、一緒になったときのビジョンが漠然とでも描けるかどうかです。M&Aは会社の未来のための取り組みだからこそ、同じ方向を向けるか、より良い未来を描けるかがとても大切だと思っています。
小岩 最終的には、社員がずっと働けるかどうかが大切です。だから、一緒になって社員同士がうまくやっていけそうか、社風が乖離していないかなども大切なポイント。いかに社員のことを考えた選択をできるかが、M&Aにおいては重要ではないでしょうか。
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